Anathema Reaper-呪いの収穫者-

「……うるさい」

声を圧し殺し、奥歯を噛み締める。
眉を寄せる廉を見て、蘭は静かに言った。

「落ち着いて。心を空っぽにして」

「……」

蘭の言われた通りにする。
レンを奥へ押しやり、心を空っぽにする。

手から蘭の体温が伝わってくる。
それを通して、心が何やら温かいモノで満たされていく感じがした。

「いいよ、目を開けて」

ゆっくりと目を開ける。
何が起きたのか分からない。
しかし、心なしか体が軽くなったような気がする。
廉は、ぼんやりと彼女を見た。

「何か変わった?」

「うーん……何か体が軽くなったような……」

「本当?よかった!」

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