Anathema Reaper-呪いの収穫者-
そんな彼のローブを、リュカと正紀が引っ張る。
廉はバランスを崩し、尻餅をついた。
「いってぇ……!何すんだ――」
「静かに!」
廉の言葉を遮り、リュカが言う。
彼女は自分の唇に人差し指を当て、工場の入り口のドアを見る。
辺りが静かになる。
風が吹き、周りの木々の葉を揺らした。
やがて、リュカが静かに口を開いた。
「……気配がするわ」
「……!」
正紀が目を見開き、廉が跳ねるように立ち上がる。
三人とも、半開きになっている工場の入り口を見据えた。
「……行くか」
本当は行きたくない。
でも、このままじゃ先に進めない。
勇気を振り絞り、廉は足を踏み出した。