Anathema Reaper-呪いの収穫者-



暗い工場内。
内部は荒れ果て、幽霊でも出てきそうだ。

所々に設置している窓から月明かりが差し込み、不気味な雰囲気を醸し出している。
そしてどこからか、すきま風が入り込み、ヒューヒューと音が鳴る。

正紀はウエストポーチから懐中電灯を取り出し、辺りを照らした。

「暗いな……やっぱり」

「帰りたいな」

「言い出しっぺが何言ってんだよ」

正紀を中心に、他の二人がへばりつくように歩く。
やはり、怖いものは怖い。

すきま風の音と共に、二人分の足音が響く。
自分の感覚を研ぎ澄まし、周りに気を配る。

と、その時。

「キャハハハ!」

甲高い笑い声が聞こえ、三人の目の前を何かが横切った。

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