Anathema Reaper-呪いの収穫者-

「お前さ、自分が何言ってんのか分かってんの?」

とうとう正紀から敬語が消えた。
リュカは静かに頷き、正紀に近付く。

「私が何も策を講じないまま、廉を悪魔にすると思う?」

「思う」

即答。
リュカは彼に近づき、頭を垂れた。

「確かに、彼の事は悪いと思ってる。反省もしてるし、絶対にやっちゃいけなかったことだって気付いた」

「……」

「許してくれなくてもいい。だけど……最後に、もう一度だけ私に協力して!」

リュカは今にも泣きそうな顔をしている。
必死なのだろう。
震える声を押さえ、正紀に懇願している。

暫しの沈黙。
やがて、正紀は小さくため息をついた。

< 260 / 331 >

この作品をシェア

pagetop