Anathema Reaper-呪いの収穫者-

「大丈夫?」

「これくらい大丈夫。君は?」

「私は平気」

「それはよかった」

頬に流れる血をぬぐい、優しく微笑む。
カトレアは安堵のため息をついた。

二人を見た正紀は舌打ちをし、リュカの様子を伺う。
彼女は下を向き、必死に石板の文字を読んでいた。

既に石板の半分を、赤い光が埋め尽くしている。

「――よそ見してていいの?」

すぐ近くで聞こえる声。
振り替えると同時にレンに弾き飛ばされ、正紀は壁に激突した。

頭をぶつけ、掛けていた眼鏡が落ちる。

「何だ。もう終わり?」

頭を押さえ、険しい顔をする彼にレンが近寄る。

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