Anathema Reaper-呪いの収穫者-

廉は顔を驚愕の色に染めながら、カトレアを凝視していた。

目を逸らしたい。
しかし、それを許さないような威圧感が彼女にはある。

怖い。
逃げたい。

廉は右足を後ろに下げた。

「いい加減、止まってちょうだい」

その時、カトレアが廉の右足に向けて指を振った。
途端にコンクリートの床を突き破り、木の根が廉の右足に絡み付く。

「なっ……!」

根っことカトレアを交互に見る。
彼女は廉の前に立ち、彼の頬に手を伸ばした。

怖くて身体が動かない。
目を見開いている彼に向かって、カトレアは優しく言った。

「もうここまで来ちゃったんだもん。後には引き返せないよ」

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