Anathema Reaper-呪いの収穫者-

その時、廉の心臓が大きく鳴った。
心臓を鷲掴みされたような、激しい痛みが走る。

廉は左胸を押さえ、小さくうずくまる。

「時間がないわ……またレンに持ってかれる」

「そんなっ……」

二人の様子を見たカトレアがフフフと笑う。
彼女は小さくなる廉に手を差し出した。

「いずれはレンに身体を乗っ取られる……もうこの身体は廉くんのモノじゃない。レンのモノなのよ」

「っ……」

「だから、私と一緒に行きましょう?」

「……」

廉は顔を歪め、踞ったままだ。
額には脂汗がじんわり浮かんでいる。

やがて、彼は顔をゆっくりと上げた。

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