Anathema Reaper-呪いの収穫者-

「廉くん……」

「もうさ、オレどうしたらいいのか分かんねーよ……」

廉は軽く笑う。
その声は今にも泣きそうだった。

彼女は廉に手を伸ばしかけたが、それを下ろすと、消えそうな声で呟く。

「アナタって本当に"いい人"だったのね……」

「……」

カトレアは諦めたように膝をついた。
廉が驚いたように顔を上げる。

「アナタにあげる。私の首」

「そんな……!」

首を振る廉。
そんな彼を、彼女が睨む。

「弱っちいこと言うんじゃない!これがアナタの使命なんだから」

「……」

カトレアを見つめる廉の目の端に涙が溜まる。
彼女は優しく微笑んだ。

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