Anathema Reaper-呪いの収穫者-

彼は廉の姿を見ると、フイッと目を逸らした。
廉は彼の目の前まで歩みを進める。

足を止めるや否や、レンが口を開いた。

『何でアイツを倒したんだよ』

「アイツ?」

『言わなきゃ分かんないの?と言うか、オレももう名前思い出せないや……』

悲しげに目を伏せ、レンは息を吐く。
憂いを帯びた赤い瞳に、光が宿ることはなかった。

『彼女がいなきゃ、オレはここまで大きくなることはできなかった』

「そっか……」

『彼女には恩を感じてる。それなのに……!』

今まで単調だったレンの言葉に、抑揚がついてくる。
彼はキッと廉を睨んだ。

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