Anathema Reaper-呪いの収穫者-

『ほら、早くしなよ』

レンが手を差し出す。
笑う顔は人間を誘惑し、取り込もうとする悪魔にしか見えなかった。

廉は首を振った。

「だって……よく分かんないけど、オレがお前を認めたら、オレがオレじゃ無くなる気がするんだ」

騙されてはいけない。
よく考えるんだ。

真剣な顔で答える廉に向かって、レンは素っ気なく言った。

『もう既に一部化してる癖によく言うよ』

「うるさい!この世に清水廉はオレ一人!
お前は違う。レンを名乗るだけで、本質は悪魔の魂の塊に過ぎないんだよ!!」

思わずムッとして、大声を上げる。

誰もいないこの状況。
自分を信じないで、誰を信じろと言うのか。

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