Anathema Reaper-呪いの収穫者-
一同は廃工場を出た。
もう、工場からは禍々しい空気は感じられない。
それを確認すると、リュカはポツリと言った。
「それじゃあ……もうこの世界に用は無いわね」
「……え?」
廉が目を見開く。
リュカはフッと笑った。
「妖精界に帰るって事よ。悪魔も全部倒したし、アナタの呪いも解けた。
もう私がここに留まる理由は無いわ」
「でも……」
「出会いがあれば、別れもある。これは二つでセットなのよ」
「……」
「そんな悲しそうな顔しないで。またいつか、きっと会いに来るから」
リュカも、どこと無く寂しそうに言う。
廉はしばらくリュカを見つめた後、小さく頷いた。
「……じゃあね」
「あぁ、またな」
リュカは手を振ると、その場で一回転した。
風が彼女を包み込み、小さな竜巻ができる。
竜巻が消滅すると共に、廉の羽織っていたローブと鎌も消える。
「大丈夫か?」
正紀が少し心配そうに訊く。
廉は彼に顔を向けると、ニッコリと笑った。
「あぁ、また会えるさ。こんくらい大丈夫」
二人の頭上を、幾つもの星が瞬いていた。