Anathema Reaper-呪いの収穫者-
廉はもう一度、封筒の中を探る。
すると、カトレアの花を象った栞が出てきた。
そして、正紀の隣にある不自然な空席を見る。
最初からあった空席のように、誰も気に留めない。
何故だか、胸の奥がキュッと締め付けられる感じがした。
「山吹蘭?そんな人いたっけ?」
楓が不思議そうに首をかしげる。
廉は何も答えずに手紙を持ったまま席を立ち、教室を出た。
「ちょっと!?廉!?」
問い詰めようとする楓の肩を正紀が叩く。
彼は首を振った。
「そっとしといてやれ」
「でも……」
「頼む。お願いだ」
正紀に圧され、楓は渋々と頷いた。
彼は優しく微笑むと、廉の後を追って教室を出ていった。