Anathema Reaper-呪いの収穫者-

そして何を思ったか、正紀が廉に向かって消しゴムを投げ付けてきた。

それが見事に左頬の傷に当たる。
彼は頬に手を当て、小さく呻いた。

「それにしてもさー、廉って不器用だよな」

当てた本人は、しれっとしながら頭の後ろで手を組んだ。
廉は涙目で正紀を睨んだ。

「うるせーよ!どこが不器用なんだよ」

「ガーゼ一つまともに貼れないくせによく言うよ」

「……」

言い返す言葉が無い。

どちらかと言うと、このガーゼは傷を隠すために貼ってきた。

取り敢えず、傷が隠れていればいい。
その為、あっちこっちにガーゼが貼ってあった。

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