Anathema Reaper-呪いの収穫者-



「はぁ……」

思わず口からため息が漏れる。
途端にリュカが彼の方を向いた。

「何よ?」

「いや、別に」

彼は新しく貼り直したガーゼをさすった。

ローブの裾は綺麗に直っている。
リュカが魔法で直してくれた。

しかし、何故だか彼女は頑なに廉の傷を治そうとはしなかった。

「もしかして、私がアナタのほっぺた治そうとしなかったの、気にしてる?」

「いや、別に」

「じゃあ、何でそんな不機嫌なのよ」

「いや、別に」

「……」

< 77 / 331 >

この作品をシェア

pagetop