Anathema Reaper-呪いの収穫者-

廉は安堵のため息をつきつつ、周りを見回した。

特に変わったところはない。
今日はもう帰ろうかと思ったその時。

「……あれ?」

一人の少女が、廉の前を通りすぎていった。

女の子が一人、こんな夜にうろつくものじゃない。
その子の足取りは重く、とてもゆっくりとしていた。

いつもなら気に留めることは無いが、今日は違った。

その子は廉と同じ、花影高校の制服を着ていた。

「どうしたの?」

リュカが不思議そうな顔で廉を見てくる。
彼はリュカの質問に答えず、女の子の後をゆっくりと追った。

< 80 / 331 >

この作品をシェア

pagetop