素直じゃないあたしを温めて
「いってぇなぁ、やめろって」
そう言った柳瀬の顔は少し微笑んでいて、
あたしの頭を撫でてくれた。
「もうっ……心配にさせないでよっ……不安にさせないでよっ……傷付けないでよっ……馬鹿……柳瀬の馬鹿。馬鹿馬鹿」
「茂里っ……ごめんな」
柳瀬はそう言ってあたしをまた強く抱きしめた。
「なぁ、キスして良い?」
「ええっ!?」
あたしは柳瀬の言葉に吃驚して、思わず大きい声を出してしまった。
嫌、なんて言える訳無いじゃん。
好きなんだから。
大好きなんだから。
あたしはしばらく見つめ合った後、コクンと頷くと
柳瀬はあたしに優しい優しいキスをした。
あたしにとってのファーストキスはこの人によって奪われた。
ファーストキスの味は、少し苦くて、でも甘い、
優しい優しい味がした。
あの時と同じ、柳瀬の温もりを感じた。
「好き」
キスをする事で、もっと好きって言う気持ちがうまれてきた。
もう一度、貴方を信じてみても良いですか?
……答えはその優しいキスの中にあったから、もう聞かないよ。
あたしは、貴方を信じるよ。