素直じゃないあたしを温めて
何か不思議だ、本当に。
ずっと遠かった茂里が
今こんなに近くに居るなんて。
それに、まさかお前も俺と
同じ気持ちなんて思っても居なかったからな。
「誕生日、おめでとう……ございました」
茂里は恥ずかしそうにしながらも、
ちゃんと俺の目を見てそう言ってくれた。
「ははっ、過去形。ありがとな」
俺はまた茂里をギュッとした。
こんな小さい体で、
今までいろんなものを自分一人で抱え込んできたんだな……
これからは、
俺と一緒に何でも乗り越えて行こうな……
「茂里」
「ん?」
「離れんなよ」
俺の見えるところに、
分かるところに、ずっと居ておけよ。
そう耳で囁くと、茂里は小さく頷いた。