素直じゃないあたしを温めて
「おはよ、茂里」
「あ、おはよ」
朝、たまたま学校の廊下で会った
あたし達は意味ありげな挨拶を交わした後、
柳瀬があたしの耳元で
「愛してる」
と小さい声で囁いた。
「馬鹿!何言ってんのよ!こんな所で!」
「嬉しいくせに~」
柳瀬はニヤニヤして、
去って行った。
「ううっ……なんかムカつく」
けど……
嬉しい。
・・・悔しいけどあたしも愛してるから。
あたし達は付き合ってるのに名字で呼び合ってるままだった。
下の名前で呼び合うかって
そんな話も前に出たけど、
やっぱり名字が一番しっくりくるから、
そのままで呼び合う事にした。