素直じゃないあたしを温めて
あたしは嬉しいのを隠して、
【馬鹿柳瀬。】
とそっけないメールを送ると、
【馬鹿茂里。絶対山崎の所に行くなよ!?よし、お前もそろそろ授業に集中しろ。俺も今からやる事が山ほどあるから。じゃあな!】
というメールを最後にして、
あたし達の授業中のメールのやり取りが終わった。
“絶対山崎の所に行くなよ!?”
が何だかすごく嬉しかった。
「行くわけないじゃん、馬鹿」
かなり小さい声で呟いたつもりが、
聞こえてしまったのか、隣の席の子が
あたしの方を不思議そうに見つめていた。
あたしはハッとしてすぐに目をそらし、
携帯をカバンにしまった。
今日くらいは真面目に授業を受けてみようかなと思い、
ノートを開き、シャーペンを握り締めた。