素直じゃないあたしを温めて
「あーもうっ、泣きやめって!俺まで泣いちゃうじゃん!」
拓未くんはそう言って、あたしにハンカチを渡してくれた。
「うん、ごめん……」
あたしは受け取り、こぼれた涙を拭いた。
「じゃあ、俺帰るわ」
「え?」
「何か、今のこの気持ちのままでバイトしたら、色々ミスりそうだし。樹理さんにお願いして帰らせてもらう」
「……そっか、分かった」
そうだよね……
拓未くんに辛い過去思い出させちゃったし、
おまけにあたしはそんな紛らわし方しないでなんて言っちゃうし。
拓未くんは、色んなことで頭がいっぱいになってるに決まってる。
「ありがとなっ、じゃあなっ」
拓未くんはそう言うと、休憩室から出て行こうとした。
「拓未くんっ!」
あたしがそう叫ぶと足が止まり、「ん?」とこっちを振り向いた。