素直じゃないあたしを温めて
「拓未くんも……拓未くんも早く、心から愛せる人に出会えたら良いね」
彼は一度あたしから目線を外した後、
「そうだなっ、今フリーだし!」
と笑顔で言った。
「良かったぁ……元気な拓未くんに戻ったっ!」
「心配すんなっ!じゃあなっ」
そう言うと、拓未くんは休憩室から出て行った。
明るい人だったから、
あんなに辛い過去があるなんて思っても居なかった。
そう考えたらあたしの過去なんて、
大した事無いんじゃないかって。
拓未くんは本当に強い人なんだな、って思った。
でも、強いとか弱いとか……
そんな問題じゃないのかもしれない。
…………
拓未くんに幸せになってもらいたい。
心からそう思った。