素直じゃないあたしを温めて
第5章
迫られる選択
「おはよー」
クラスの女子達と簡単な挨拶を交わしたあたしは、自分の席に着こうとした時、
「おはよう、茂里さん」
山崎くんがあたしの前に立ち言った。
最近、山崎くんはあたしに良く話しかけに来る。
その度に柳瀬は妬いてるみたいだけど。
「おはよ」
「最近どう?カフェでのバイトは」
「えっ……?」
なんで……?
なんで知ってるの?
あたし、誰にも言ってない。
この学校では、柳瀬だけしか知らないはずなのに。
まだ誰にも、バレてないのに……
「やだなぁ、そんな顔しないでよ。たまたま見ちゃっただけだから」
「そ、そうなんだ……」
「大丈夫、誰にも言わないから」
「ありがとう……」
山崎くんはあたしに微笑んでから自分の席に着いた。