素直じゃないあたしを温めて

教室に戻るともう、誰も居なかった。


皆、学校が終わればすぐに帰る。


居残りする子は補助教室とかに移動するから、


放課後ずっと教室に居る人はあんまり居ない。




あたしはバイトまで時間があるし、


暇だからいつも教室でボーっと座ってたり、
色々考え事したり。



別に一人で居る時間は嫌いじゃない。



だって、高校入ってからずっと一人だったし。


落ち着くの、一人が。




「あ、そういえば……大丈夫かな、拓未くん……」




バイトの時間までまだ早かったけど、

あたしは拓未くんが心配だから、

早く行こうと思い、カバンを取り、
帰ろうとして教室のドアの方に目をやると、



────寒気が走った。

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