素直じゃないあたしを温めて
そう言える拓未くんが眩しかった。
あたしも、拓未くんみたいに
なれたら良いのにって、
本気でそう思った。
「大切な人が幸せならそれで良い……
なーんてかっこいい事言えたら良いんだけど、
俺そんなかっこ良く無いからさ、二人で幸せになりたいなぁって思う。
でもさ、それって欲張りじゃん?
だったら、どちらか選べって言われたら、大切な人取るかな」
ううん。
拓未くん、十分かっこいいよ。
そうやって“大切な人”を選ぶ
って言えるんだもん。
「こんな俺のどうでも良い意見聞いて、
琥珀チャンの何になったかは分からないけどさ……
琥珀チャンは琥珀チャンの気持ちをゆっくり見つけたら良いよ。
何も、大切な人を選べなんて言わないし」
あたしは黙ってコクンと頷いた。
「よしっ、もう帰りなよ。俺琥珀ちゃんの分頑張るし。送るよ、家まで」
「いやっ、そんなの悪い……」
「いーのっ!これくらい!ちゃんと休みなさいっ!」
拓未くんがまるで世話を焼くどこかのおばさん
のように見えてきて少し笑ってしまった。
「……ありがとう」