素直じゃないあたしを温めて

ゴンッ


あたしは何も考えずに走っていたせいか、
思いっきりぶつかってしまった。



「うわっ、吃驚したぁ、んな急いでどうしたんだよ!」



丁度職員室から出てきたみたいで、

あたしは柳瀬とぶつかってしまったようだった。




「柳瀬っ!屋上行こっ」


「はぁ?屋上は立ち入り禁止だろ」


「良いの!そしたら誰も入って来ないじゃんっ!……二人だけじゃん」



柳瀬はだんだん声が小さくなるあたしの顔を数秒見つめた後、



「鍵取ってくるから待ってて」



そう言って、また職員室に入って行った。





今は……
二人だけになりたいの。




だって、

二人でこうして居られるのも、もうあと少しだから──……
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