素直じゃないあたしを温めて

「あー、えーっと……」



隣で頭をポリポリ掻きながら、

そう呟く柳瀬。




何も知らない柳瀬はきっと、

さっきのあたし達の状況を
どう言い訳するか考えてるんだと思う。




「あ、先生。茂里さんから言いたい事があるらしいです」



……。
このタイミングで?




「言いたい事?……何?」




柳瀬があたしの顔を

いつもの優しい瞳で見つめた。



あたしはその目を見れなくて、すぐに視線を逸らした。




「ほら、早く」




山崎くんがあたしに小さい声でそうせかした。



「……」
< 188 / 440 >

この作品をシェア

pagetop