素直じゃないあたしを温めて

あたしは目に涙が溜まっているのが

バレないように柳瀬から顔を背けた。



「……意味分かんねぇんだけど」



柳瀬の足音が聞こえたから、



「来ないでっ!」


あたしがそう叫ぶと柳瀬の足は止まった。



「せんせーっ、そういう事だから。茂里さんの事はもう諦めて下さいね?じゃあ、失礼します」



山崎くんはそう言うと、あたしの前に立ち、



「じゃあ、行こうか。琥珀」



下の名前で呼ばれた。
全然良い気がしない。


……あたし、柳瀬に下の名前で呼ばれた事無かったのに。



手を取られたあたしはそのまま山崎くんについて行く。

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