素直じゃないあたしを温めて

「こんばんはぁ~ご指名ありがとうございまぁす!初めまして、ミズキですっ」


とりあえず、あたしは知らないフリをして
「初対面だ」と貫き通すことに決めた。


「……」


あたしを驚いたような顔でじっと見つめる柳瀬。



大丈夫、メイクかなり濃いし、

いつもと髪型も全然違うし、

かなり派手だからあたしって気付いてないよね?
ていうかそもそも私がここ働いてるなんて思わないよね?

いや、気付かないでお願い……


「初めまして。よろしくね」



お……


気付いてないの?

……良かった。


男ってほんと単純。


ほんと、馬鹿ね……


大体教師が何でこんな所来るの?ありえない。


「何飲みます~?あたし、これが良いかなぁ」


隣に座って、結構高めのお酒を指さす。


もちろんあたしは飲まない。
というか未成年なんだから飲めない。


「やっぱ要らない」

って適当にごまかすつもり。

初めての時もそうしてごまかしたから。


「あほか。お前、酒なんて飲めねぇだろ、馬鹿」


「…………えっ?」



< 22 / 440 >

この作品をシェア

pagetop