素直じゃないあたしを温めて
「こんばんはぁ~ご指名ありがとうございまぁす!初めまして、ミズキですっ」
とりあえず、あたしは知らないフリをして
「初対面だ」と貫き通すことに決めた。
「……」
あたしを驚いたような顔でじっと見つめる柳瀬。
大丈夫、メイクかなり濃いし、
いつもと髪型も全然違うし、
かなり派手だからあたしって気付いてないよね?
ていうかそもそも私がここ働いてるなんて思わないよね?
いや、気付かないでお願い……
「初めまして。よろしくね」
お……
気付いてないの?
……良かった。
男ってほんと単純。
ほんと、馬鹿ね……
大体教師が何でこんな所来るの?ありえない。
「何飲みます~?あたし、これが良いかなぁ」
隣に座って、結構高めのお酒を指さす。
もちろんあたしは飲まない。
というか未成年なんだから飲めない。
「やっぱ要らない」
って適当にごまかすつもり。
初めての時もそうしてごまかしたから。
「あほか。お前、酒なんて飲めねぇだろ、馬鹿」
「…………えっ?」