素直じゃないあたしを温めて

柳瀬はさらに腕に力を入れ、
あたしを強く抱きしめた。




「勝手に一人で決めて、勝手に離れて行くなよ……」


「ごめん……」


「もう自分一人だけで決めたりすんなよ?ちゃんと、俺に話せよ?」




柳瀬はそう言うと、手であたしの涙を拭いた。




人の気持ちってそう簡単には変わらないんだ。



すごく想っていた人を消すなんて、

そんな事簡単に出来る訳が無い。




あたしは……



あたしは、柳瀬が大好きです。





「好き……」





あたし達は、オレンジ色の空を背景に、

静かな音楽室の中でキスをした。
< 220 / 440 >

この作品をシェア

pagetop