素直じゃないあたしを温めて
メイドなんて絶対に嫌だから、
あたしはお化け屋敷に一票入れた。
顔をあげると、学級委員の二人があたしの顔をじっと見ていた。
「え……?」
あたしは吃驚して、固まっていたら、
「えっとー、34対1で、お化け屋敷が茂里さんの一票だけだったんだけど……茂里さん、喫茶店で良いかな?」
ええええええ。
な、何それ……
皆、メイドになりたいの?執事になりたいの?
……やっぱりあたし、皆に着いていけない。
ふと柳瀬を見ると、顔を真っ赤にして笑いを堪えているようだった。
あたしはキッと柳瀬を睨んでから、
「……良いです」
と俯いて答えると、
「じゃあ、喫茶店で決まりでーす。あ、店名とか決めましょうかー。じゃあ、候補をあげて行って下さい」
決まってしまった。
「はぁ……」
あたしが肩を下してため息をついていると、
柳瀬がまた必死に笑いを堪えていた。
あたしは皆にばれないように口パクで「ばーか」と言った。