素直じゃないあたしを温めて

メイドなんて絶対に嫌だから、

あたしはお化け屋敷に一票入れた。




顔をあげると、学級委員の二人があたしの顔をじっと見ていた。



「え……?」


あたしは吃驚して、固まっていたら、


「えっとー、34対1で、お化け屋敷が茂里さんの一票だけだったんだけど……茂里さん、喫茶店で良いかな?」




ええええええ。
な、何それ……



皆、メイドになりたいの?執事になりたいの?


……やっぱりあたし、皆に着いていけない。



ふと柳瀬を見ると、顔を真っ赤にして笑いを堪えているようだった。



あたしはキッと柳瀬を睨んでから、



「……良いです」



と俯いて答えると、


「じゃあ、喫茶店で決まりでーす。あ、店名とか決めましょうかー。じゃあ、候補をあげて行って下さい」



決まってしまった。


「はぁ……」



あたしが肩を下してため息をついていると、

柳瀬がまた必死に笑いを堪えていた。



あたしは皆にばれないように口パクで「ばーか」と言った。
< 233 / 440 >

この作品をシェア

pagetop