素直じゃないあたしを温めて

「こんにちはー」



あたしは店の中に入り、新山さんに挨拶をしてから休憩室に入ると、



「あ、琥珀チャン」


中には拓未くんと、同じバイトの岸本さんが居た。



「久し振りだね、琥珀チャン。あ、あれから……大丈夫だった?」



心配そうにあたしの顔を覗き込む拓未くん。


あたし達はあの日から、

全然バイトの日程が合わなかったから
会うのは久し振りだった。



あたしと拓未くんのそのやり取りに気付いた岸本さんは

気を遣ったのか、休憩室から出て行った。



「心配かけて、すみません。もう大丈夫です。ありがとうございました」


あたしは頭を深々と下げてお礼を言うと、


「いえいえ、元気そうで何よりでございます」


と拓未くんも丁寧な口調で言うから、

あたしは思わず笑ってしまった。
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