素直じゃないあたしを温めて
「あの、色々と……ありがとう。あたし、拓未くんが居なかったらほんとに駄目になってたと思うから……」
急にそんな話をし始めて驚いたのか、
二人の頭を撫でる手を止め、数秒あたしの顔を見つめてから、
「また辛くなったらいつでも頼ってよっ、俺頼れる男だからなぁー、なーんてな」
「拓未くんかっこいいっ!千奈、拓未くんと結婚するぅ~」
目をうるうるさせて、拓未くんの顔を見上げる千奈が可愛くて、
あたしはまた笑ってしまった。
拓未くんはそんなあたしを見て、少し困ったような顔をしてから、
「ほんと?じゃあ、千奈ちゃんが大きくなるまで待とうかなぁ」
なんて、言う冗談を聞いて、千奈は
「やったー!」と、はしゃいでいた。
「千奈にロックオンされちゃったね」
「モテる男はつらいねぇ」
拓未くんの第一印象は本当に本当に最悪で、
出来れば関わりたくないって思ってたのに……
拓未くんが本当に良い人で良かったって思う。
「きっと良いパパになるだろうね」
「ん?何か言った?」
「何でもないですっ、じゃあ千奈達と仲良くしてあげて下さいね~っ」
あたしは拓未くんに背を向けた。