素直じゃないあたしを温めて

ごちそうさま


学園祭当日。

三週間くらい前から用意をしていたあたし達の喫茶店は完璧。


って言いたい所だけど……



「やっぱりあたし……ヤダ!誰か変わってよぉっ」



ミニのワンピースに、フリフリのエプロン。
明らかに“秋葉系”って感じのメイド服。


準備期間中もどんなメイド服なのか、
見せて貰えなかった。


だから、今初めて見て、初めて着た。



「超似合ってるしっ!まじ可愛いよ、琥珀ちゃん!」



この前メイド姿を見たいからという理由であたしを推薦した、

クラス一派手な女子の天王寺由香(てんのうじゆか)は、


「一緒に写真撮って~」


と、携帯を取りだし、他の女子に撮るよう指示していた。



「もっと自信持ちなよー!可愛いんだからっ」


「茂里さん、もうちょっと笑って!」


「え、あ、はい」


携帯を持っている子にそう言われ、引きつった笑顔でカメラを見た。

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