素直じゃないあたしを温めて
あたしは拓未くんに言われてから
また更に恥ずかしくなってきた。
「あのねっ、これは──」
「茂里!」
名前を呼ばれ、振り返ると
柳瀬が走ってこっちに来ていた。
「どうもっ」
拓未くんが一礼すると、柳瀬は軽く会釈して、いきなりあたしの手を掴んだ。
「なっ、なに!?」
「ちょっと、来い。話したい事があるから」
「何?此処じゃ駄目なの?」
「良いから」
そう言うと、あたしは無理矢理柳瀬に引っ張られて拓未くん達からどんどん遠ざかって行った。
「ちょっと柳瀬?あたし達こんな格好だし、余計目立つって」
あたしが小声でそういうと、手を離し、
何も言わないでどんどん前に進んでいった。