素直じゃないあたしを温めて

「あの時はまさか、ああなるとは思って無かったからな」


「……」


「もう勝手に自分で決めて、離れて行くなよ?」


「わーかってるって」



あたしは大きく頷くと、


「そろそろ戻ろっか。皆心配してるかもしれないし」



あたしはそう言って立ち上がって、
屋上のドアに向かおうとした時、


「わっ」


腕を引っ張られ、


「ん……!!」



いきなりキスされた。



「ななっ?!」


唇が離れ、あたしはいきなりの事に焦って戸惑っていると、


「ごちそうさま」


と、柳瀬がそう言ってポケットに手を突っ込み、ドアに向かって歩いて行った。



「ちょ、ちょっと!」



何よ、何っ!さっきはキスはお預けとかなんとか言ってたくせに。
意味分かんない、何今のっ!


あたしは一人でその場で戸惑っていると、


「ほら、行くぞ」


何にも無かったかの様に、普通にしている柳瀬が手招きをしていた。



「馬鹿……」



あたしの心は本当に本当に、不思議なくらい、


いつもこの人に持って行かれてしまう。


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