素直じゃないあたしを温めて
振り返って反論しようとしたけど、
由香ちゃんはもうメイド服に着替えるために別室へ行こうとしていて、話しかけられなかった。
「……変な人」
そうボソッと呟きながらも、自然と笑みがこぼれた。
「茂里さーん!こっちのお客さんの接客お願い」
クラスの女子に手招きされたあたしは小走りで駆け寄った。
「あっ、拓未くん!」
テーブルには「よっ」と手を軽く上に上げた拓未くんと、
手を振る美砂と千奈と晴季。
改めてこの格好を見られるのがすごく恥ずかしい。
「あれ?いらっしゃいませ、ご主人様とか言ってくれないの?」
と笑いながら冗談を言う拓未くん。
「そんな恥ずかしい事言えません!」
「えー、それを楽しみに来たんだけどなぁ」
「あははっ、何言ってるんですか!」
あたしがそう言うと、皆はあははと笑い、
すごく幸せな雰囲気が漂った。
今では、こうやって笑える事自体が嬉しくて、
幸せなんだと思えるようになった。