素直じゃないあたしを温めて

屋上に着くと、柳瀬が腕を組みながら不機嫌そうな顔で立っていた。



「嫉妬した?」



と笑いながらあたしは柳瀬の顔を覗き込むけど、
柳瀬の目は全然笑って居なくて、むしろまだ怒っていた。



「そんなに本気にし────」


「何のつもり?」


「え?」



低い声でそう言われたあたしは固まってしまった。



「俺、さっきも屋上で言っただろ」


「だって、柳瀬が……」



バンッ



「痛っ……」



柳瀬に強く、背中をフェンスに押し付けられた。


「何すんの」


「どういうつもりだよ。何がしたいんだ」


「そんな怒んないでよ、別に本気じゃないし」



ただ、柳瀬が嫉妬しているのが面白くて、
遊び半分でやっていただけなのに、

そんなに怒られても……

困る。
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