素直じゃないあたしを温めて

「尚ね、結婚するんだって、来月」


「……」


「相手の女の人に会ったけど大人っぽくて凄く綺麗な人だった。適うわけないなぁって……」



そう言ってあたしに話してくれているけど、
由香ちゃんの手がかすかに震えているのが分かった。


本当に本当に、大好きだったんだと伝わった。



「告白しないで、私の恋終わっちゃった。でも元々告白しようなんて思って無かった。

だって、告っちゃったら私達の関係は無くなっちゃうんじゃないかって怖かったから。
尚は私の事妹みたいな存在としか見てないのは分かってたし」



自分が失恋して、
苦しい想いをしているのに、


尚人さんに笑顔で会いに来て、

何も無いような振りをして……



あたしには、出来ないよそんな事……


由香ちゃんは、

すごく心の強い人。



あたしなんかと大違い。
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