素直じゃないあたしを温めて

もう、一生会えなくなるって訳じゃない。

会おうと思えば、いつでも会える。



だけど……自分のこれからの“家”に戻っても
皆の笑顔は……皆の笑顔は待っていない。


「おかえり」


そう言って、無邪気な笑顔で微笑んでくれる子達が、居ない。




今までありがとう。


美砂のそう言った言葉の意味には何か、凄く奥が深いものを感じた。





その日はおばさんに電話をし、皆離れて暮らす事を決めたと話した。

施設の方の都合で、明日が良いという事で
あたし達がこの家で、一緒に居られるのは今日の夜だけという事になった。


「明日って……そんな……早いよ……」



あたしがそう呟くと、美砂が


「じゃあさ、最後に皆で思い出作ろうよ!」


「思い出……?」


「うん!よしっ、千奈、晴季!皆でご飯作ってパーティーしよっかあ!」


そう言って美砂が千奈と晴季に駆け寄ると、2人はニコッと微笑んで、


「やったあ!今日は何のお祝いなの~?」


とはしゃいでいた。



……お祝い……か。



「今日はねーすっごく特別な日なの!」
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