素直じゃないあたしを温めて
それぞれの、道
遂に……この日が来た。
「もしもし、おばさん。今から行きます」
おばさんにそう伝え、あたしは千奈と晴季を施設に預けるため外に出た。
「ねえお姉ちゃんー何処行くのお?」
そう言ってあたしの手を掴みながら上目遣いで聞いて来た晴季に、あたしはまた心を締め付けられた。
「そうね……」
言葉に迷う。何て言ったら良いのか……
「晴季と同じ年くらいのお友達も居て、お姉ちゃんみたいな優しい人もたくさん居る所だよ!」
美砂が晴季の頭の上に手をポンと置いてそう言った。
「美砂……」
美砂はきっと、この2人を不安にさせないために……
「そうなのー?お友達いっぱい出来る?」
「出来る出来る!」
千奈と晴季はじゃあ早く行こうと、あたしの手を引っ張った。
その光景もまた、心が痛む。