素直じゃないあたしを温めて

それぞれの、道


遂に……この日が来た。



「もしもし、おばさん。今から行きます」



おばさんにそう伝え、あたしは千奈と晴季を施設に預けるため外に出た。



「ねえお姉ちゃんー何処行くのお?」



そう言ってあたしの手を掴みながら上目遣いで聞いて来た晴季に、あたしはまた心を締め付けられた。


「そうね……」



言葉に迷う。何て言ったら良いのか……


「晴季と同じ年くらいのお友達も居て、お姉ちゃんみたいな優しい人もたくさん居る所だよ!」


美砂が晴季の頭の上に手をポンと置いてそう言った。


「美砂……」



美砂はきっと、この2人を不安にさせないために……



「そうなのー?お友達いっぱい出来る?」


「出来る出来る!」



千奈と晴季はじゃあ早く行こうと、あたしの手を引っ張った。


その光景もまた、心が痛む。
< 319 / 440 >

この作品をシェア

pagetop