素直じゃないあたしを温めて
目の前にはもう施設が見えて、
あたしの心臓はドキドキ鳴りっぱなしだった。
「あら、茂里さん?」
中から女の人が出てきて、こっちに向かって走って来た。
「こんにちは!えーっと、千奈ちゃんと晴季くんだね?」
「こんにちはー!」
優しそうな人で良かった……
此処なら安心して2人を……
「どうぞ、入って?」
「……」
中には入らず、もう此処でお別れした方が良いのかもしれない。
だって……もう、辛いから。
「あたしは……良いです」
そう言うと、女の人は驚いた顔をしたけど、何か分かったみたいで、
「そう、じゃあ最後に……」
そう言って彼女は一歩下がった。
あたしは頭を下げ、千奈達の前にしゃがんだ。