素直じゃないあたしを温めて

────もう、皆で笑って一緒に暮らす事は出来ない。








「ん……」



気が付くと、見知らぬ部屋の中に居た。

さっと起き上がると、


「いた……」



頭がズキズキして痛む。



「此処……何処?」



辺りを見渡しても見覚えが無い。



「気が付いたか」


「え?」



声のする方に振り返ると、

水を持った柳瀬が居た。



「柳……瀬?何で……」



目の前の予想外の人物に驚き、
目を大きく開いたままのあたしを見て、ふっと笑った。



「此処、俺の家」


「えっ……?」



柳瀬の……家?



そう言われて改めて見渡してみると、確かに柳瀬っぽい家。

無駄なものは無く、必要なものだけ揃えたシンプルな部屋。



きちんと掃除されていて、綺麗。



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