素直じゃないあたしを温めて

「あたし……最低な事した」


「は?」


「親と……同じ事した。捨てたようなもんだよ……」



そう言葉を吐き捨てると柳瀬はあたしの隣にそっと座り、何も言わずに俯いていた。



「行かないでって……そう言われた。母親が出て行った時もそうだった。2人とも行かないでって叫んでた。だから……あたし、2人に同じ思いさせちゃった……」


「茂里……」


「ねぇ、柳瀬。あたし、この選択は間違ってたのかなぁ……?」




どうしてだろう。

もう泣かないと決めていたのに、

柳瀬がそばに居ると……無性に泣きたくなる。



「あたしは……間違った事したのかな……」


「茂里っ」



柳瀬がいきなりあたしを抱きしめるから、持っていたコップ、落としちゃったじゃん……


あたしの手から離れたコップは絨毯の上に落ち、
水が全てこぼれてしまった。



「そんな事、無い……」



そう耳元でささやかれ、あたしの目にはもう大量の涙が浮かんでいた。



「間違ってないよ」


「っ……」





やっぱり貴方があたしは─────……


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