素直じゃないあたしを温めて
やだ、何泣いてるのあたし。
別に泣きたかった訳じゃない。
泣こうと思った訳じゃない。
ただ、自然と涙が溢れてきて……
「やめてっ!もう良いからっ……!!」
あたしは柳瀬の腕の中から無理矢理抜け出して、
泣き顔が見えないように、
顔を背けた。
どうしてだろう。
どうして……
何故かあいつの腕の中が心地よくて……
温かくて。
久しぶりの温もりで。
でも、それを受け入れてしまうと、
過去の自分を否定しているようで、嫌になる。
────誰も信じないと決めたのは誰?