素直じゃないあたしを温めて

「茂里……ごめんな?」


「え?」


「学園祭の日……お前を傷つけた」


「……」


「ずっと謝りたかったけど、中々言い出せなくて……悪かった。俺、茂里が離れて行っちゃうんじゃないかってずっと怖かったんだ。だから、他の男がお前の事見てるの、すんげえ腹立った」


「柳瀬……」



そんな事思ってたんだ。

全然知らなかった……



「あたしは……どこにも行かないよ。ずっと、柳瀬のそばに居る」


「……」


「約束する」


「俺も……」



そう言って優しく微笑んでくれた柳瀬がすごく嬉しくて。



「あたしも……大嫌いなんて言ってごめん。嘘、だから……」



大嫌いなんかじゃない、むしろ────


「分かったよ!あんまり言うな。俺の理性無くなっちまいそうだから。今日はもうゆっくりしろ。俺、自分の部屋行くから」


「……ありがとう」



柳瀬はいつもあたしの事を考えてくれる。

だからあたしは、この人に惹かれたんだと思う。
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