素直じゃないあたしを温めて
「お腹、空いてないか?」
「うん、大丈夫」
「じゃあ、ゆっくり休めよ、お休み」
「ありがと、お休み」
柳瀬はあたしの頭に手をポンと置くと、奥の部屋に入って行った。
「はあ……」
何だか一気に力が抜けた。
柳瀬がそばに居てくれたから、
少しは落ち着いたけど……
やっぱり全て何も無かったという事には出来ない。
でも、もう後戻りは出来ない。
だからせめて……
皆は、それぞれ幸せになって欲しい。
「あれ?メール……」
携帯を開くとメールが一通届いているのが分かった。
【今日はもう柳瀬さんの所に居るんだよね?さっき聞いた。ゆっくり休んでね!あと、お姉ちゃんは悪く無いからね。自分を責めたりしないでよ?お姉ちゃんの事だから心配だなあ。
私は今おばさん家に居るよー!迷惑かけないようにするね!明日、一緒にあのアパートの荷物まとめよっか。私は8時くらいに行くからお姉ちゃんもそれくらいに来てくれた嬉しい。
じゃあね!返信は要らないからゆっくり休んでね!お休みなさ~い 美砂】
「……ありがと」
パタン
携帯を閉じて、
机の上に置いた。
────あたし達はこれから、それぞれ違う道を歩んで行く