素直じゃないあたしを温めて

「ははっ、ほんとガキー……」



そう小さく呟いた。

あの人と居ると自然と笑顔になれる。


あたし、やっぱり柳瀬とじゃなきゃ……
柳瀬じゃなきゃ、駄目なんだと思う。



「ふぅ……」



ソファーの上に腰を掛けた時、


プルルル……



机の上の携帯が鳴った。


「吃驚したーっ、あ……あたしのじゃない」


鳴っている携帯を見るとあたしの物ではなく柳瀬のだった。


「忘れちゃったんだ」



あたしはとりあえず、鳴っている携帯を放置しようと思ったけれど、一向に切れる気配は無く、ずっと鳴っていた。



大事な急用とかだったらまずいし、出た方が良いのかな……

でもどうしてあたしが出るの?って思われるかな……

まあ、良いか。その時はその時で……



そう思いながら柳瀬の携帯に手を伸ばし、

まずは無言で電話に出る事にした。
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