素直じゃないあたしを温めて

「航太っ!」



あたしからも柳瀬のお母さんの声が聞こえる。



「もう俺に関わんな」


「この前私に電話掛けてきてくれたから!だからっ……もう許してくれたのかと思って……!」


「……あれは、樹理に渡されて掛けろってしつこく言われたからだ。許してなんか……ねぇよ」




やっぱりあの番号が書かれた紙……
柳瀬のお母さんのだったんだ……




だから柳瀬はあんな風に怒って……



「私、明日そっちに行くの。あの別荘に……だから航太も来てくれない?亜衣ちゃんも来るから……」



別荘?亜衣ちゃん?



あたしには分からない事だらけで、でも──



「はぁ?行く訳ね──」


「行きます」



柳瀬の携帯を横から奪い取って、あたしがそう言った。
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