素直じゃないあたしを温めて

「お前っ何言ってんだよ!?」


柳瀬に肩を揺らされたけど、無視をして、柳瀬のお母さんに話しかけた。


「行きます。あたしも……行って良いですか?」


「おいっ、茂里!」



必死に止めようとする柳瀬。

でも、もうあたしはやめない。



「貴方は……航太とどういう関係なの?」


「……茂里琥珀、柳瀬さんの恋人、です」




言って良かったのかは分からない。
でも、ずっと立ち止まったままじゃ何も始まらない。


だから、柳瀬は────




「航太の彼女さん?あら、見たいわねぇ。良いわよ、いらっしゃい」


「何勝手に話進めてんだよっ、ふざけ──」


「柳瀬は黙ってて!」


「はあ?ちょっと、意味分かんねぇんだけど……」



そう言うと、柳瀬は諦めてぐったりしていた。


「貴方のお友達も連れてきて良いわよ。貴方1人じゃ気まずいでしょうからね」


そう嬉しそうに言う柳瀬のお母さんの声を聞いて、

悪そうな人じゃない、ってそう思った。



柳瀬を捨てたりするような人に、思えないんだけどな……
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