素直じゃないあたしを温めて
「──い、……と、さと……」
「……ん」
「茂里、着いたぞ」
起こされて窓の外を見てみると、
「うわあ!すごい!!」
目の前に広がる海を見て感嘆をもらした。
あたしは急いで車から降り、空気を吸った。
「同じ県内なのに、すげえ遠かったなあ~」
拓未くんはそう言いながら海をじっと眺めていた。
「ねえ、柳瀬のお母さんは何処に住んでるの?」
「ん、東京」
「へぇ……」
じゃあ、その亜衣さんって人も東京?
って言いかけたけどやめた。
「まだかな、二人」
「さあ。あ、別荘ってのはあそこな」
そう言って指さしたのは、白色のとても大きな綺麗な建物。
「うわあ!すっごい!何これーっ!」
あたしと拓未くんは、
はしゃいでその別荘に近付いた。